第72回神経生理検査勉強会

 2022年3月6日(日)、第72回神経生理検査勉強会(Webセミナー)が開催されました。

 今回の勉強会のテーマは「神経生理検査における診断へのアプローチ〜CTSから神経筋疾患まで〜」、参加人数は127名と多くのご参加をいただき、盛況うちに終了となりました。

 

 講演①は、「CTS診断のNCSアプローチ」と題し、医療法人社団松寿会 丘整形外科病院 齋藤江美子先生にご講演を頂きました。齋藤先生はこれまでも日本神経生理検査研究会のメーリングリストで多くのアドバイスや知見をいただいており、神経生理検査分野で大変ご活躍されています。今回は手根管症候群(CTS)の症例をご提示いただきました。CTSの重症度分類を活用され、重症度の可視化をすることで、臨床医への報告にも有用であるという、技師にとってはとても参考になるお話でした。講演後に多くの質問が寄せられ、重症時のSNAP所見の解釈や手掌刺激時の接地電極の位置など、手技や結果の解釈についての疑問にもお答えいただきました。

 

 講演②は、「神経筋疾患における神経生理検査の役割〜針筋電図を中心に」ということで、札幌医科大学神経内科学講座 助教 山本大輔先生のご講演でした。末梢神経から筋疾患についての内容で、とくに普段経験しない針筋電図検査については実際の症例から筋放電の様々な音を聴くことができ、大変有意義な時間でした。慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)や重症筋無力症の診断基準については、現在の最新の内容とこれまでと変更になった基準について分かりやすく解説をしていただきました。臨床診断も含めた知識のアップデートをすることができました。そして、私たちが普段記録しているCMAPやSNAPの振幅や持続時間などが診断に大切であると改めて感じることができました。

 

 今回は講演①でCTSとNCSの基本的な理解と重要性を、講演②で神経筋疾患に必要な基礎知識や針筋電図とNCSの解釈について学ぶことができました。本日の勉強会の内容をしっかり業務に活かしていきたいと思います。

 

文責 釧路孝仁会記念病院 杉尾 英昭